コラム:はじめての家づくり その24|
購入前の現地の見方②
こんにちは。
シンプルモダン住宅を一緒に考え設計する相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
谷根千で家づくり設計活動中です。
今回もよろしくお願いします。
前回は、現地で土地をどう見るべきかというお話しでした。
まず、可能性を最大限に活かしたプランをつくるために現地に行きましょう。
続き!
地盤を調べる
敷地の地盤の強さや成り立ちがわかると、基礎をどうすべきかが見えてきます。
土地を購入した場合、住宅では、スケールやコストの面からスウェーデン式サウンディング調査が行われることが多いです。
いわゆる地盤調査です。
費用は10万円ぐらいでしょうか?
先端がスクリューになっている直径3〜4cmの鉄の棒に力を加えながら計測しつつ地中に入れていきます。
N値という計測値で強さを現します。
だいたい、建設予定の建物の形の中心あたりと、他に数カ所調査します。
建物が実際に建設された時のイメージに近く調査するということです。
調査後にはちょっとしたページ数の調査報告書が上がってきます。
だいたい、「概要」と「調査報告」、「提案」で構成されています。
概要とは建設予定地の周辺から、どういう成り立ちの土地で、掘っていくとどうなるというような大まかな話です。
災害時のイメージや文化財が埋蔵されている可能性があるとか、色々と土地の所以がわかります(周辺地域は縄文時代に集落があった、という報告ったことがあります)。
調査結果は、各ポイントでの調査経過のN値の変化が表示されます。
縦軸が深さ(深度)の折れ線グラフで、各深度における土質も表示されます。
砂利や礫、ロームや粘土、硬質シルトなど聞きなれない言葉が並びますが、
それが順番にこの地下に埋まっていると思うと感慨深いものがなくはないです。
提案というのは、どういう地盤改良が必要かという提案です。
より安全な建物を建てるために弊社の地盤改良「○○工法」を御採用くださいと
提案されていることが多いです。
地盤改良の施工を本職にする、地盤調査会社が多いのはそのためです。
こんな地盤ですから、うちでこうしないと、と。
何れにしても、安心のためだけでなく、
地盤保証に入るためにも調査を必ずして下さい。
地盤を想像する
とはいえ、地盤調査は土地を入手してからの話です。
それ以前に何ができるか?
リスクをできるだけ減らしたいものです。
前回、地盤で気にすべきこととして、地名をあげました。
水に関わる地名は要注意。
そして土地の成り立ちを気にして下さいとお伝えしました。
それ以外にできることがいくつかあります。
土地というのは連続しています。
また、地域周辺は同じ成り立ちの可能性が高いです。
ということは周辺の土地の具合が大いに参考になります。
例えば近隣で住宅の工事をしているところがないか探してみて下さい。
あるいは解体の現場でも良いです。
検討中の土地を中心に数百mの距離にある現場の情報は参考になります。
現場が早いタイミングならば、基礎の工事の様子がわかります。
前面道路より50〜60cm程度しか掘っていないのであれば
一般的には地盤改良をしないで、砂利を敷いて搗き固め、
基礎を作っている可能性が高いです。
昔の木造住宅と違って、最近の住宅は基礎は
ベタ基礎といって建物の底を建物の形にコンクリートを打ち
その四周をたちあげて基礎の立ち上がりとします。
地盤改良とはその建物の底の下で行うものです。
建物の底となる四隅で直径1mほどのコンクリートの円柱を施工するような
柱状改良という地盤改良もありますし、
杭を打つような地盤改良もあります。
ちなみに地中の水位の浅い土地では、
少し掘っただけで水が湧いてくることもあります。
解体の現場で、梅雨の季節でもないのに一部分だけ異常な泥沼になっているときは、
水が上がってきているからかもしれません。とはいえ、解体現場では粉塵が舞わないように散水しながらの作業です。
区別がつかないかも。
直接聞いてみる
どれも、よーくみないとわからない話ではあります。
いや、よーくみてもわかならない話ではあります。
しかし、信用しないのではなく、可能性を想像し疑ってみることは大切だと思います。
安心のために、そこで感じた疑問や不安は、
不動産販売業者さんにぶつけて下さい。
「ここの地盤大丈夫ですか?」と
それぞれ見解を持っているはずです。
他にも近隣の施工現場で直接聞いてみるというのも有効です。
僕らも、近くに施工中の現場があると「こんちわ」って声をかけて
「お客さんがこの辺で土地探してるんだけれども、やっぱりこの辺地盤悪いの」とか
「……結構地盤いいんでしょう?」とか直接聞いちゃうことがあります。
同業のよしみで結構教えてくれます。
もちろん「なんだって?」顔されたりもしますが、
こちらの真摯さは伝わるものです。
最後に、僕らのような設計事務所に相談いただくと、
近隣データが手に入ることがあります。
近隣のボーリングデータや
スウェーデン式サウンディングのデータです。
これだけ、世の中には建物が建っています。敷地の近くで建設した方(近隣)の調査結果がプロだと手に入ることがあります。
ということで、家づくりの依頼先の候補に弊社もぜひお加え下さい。
一緒に考え、あなたのための家づくを心がけます。
(この項了)
2021/07/06 佐藤 勤 記
次回、7月9日(金)に更新予定です。
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